遺言の目的と効果

相続分には、指定相続分と法定相続分が有ります。
指定相続分とは、遺言書(ゆいごん・いごん)により非相続人(故人)がその遺産の相続分を法定相続人(共同相続人)の誰にどのくらい渡すかを生前に予め指定しておき、お亡くなりになった後その遺言書の内容にそって遺産相続が行われることを言います。

遺言(ゆいごん・いごん)は非相続人の最後の言葉として非相続人の最後の意思を遺族の方々に明確に伝える事ができる手段となり原則的には遺産相続において強い効力を発揮する事になります。

法定相続分は民法が定める相続に関する相続分のことで、遺言書による共同相続人の相続分の指定がなかった場合、民法で定められた法定相続分にそって遺産が分割されます。

遺言目次

民法で定められた相続人の相続割合
相続人の区分 相続順位 相続人と相続割合
相続人が配偶者のみ(常に相続人) 常に相続人 配偶者のみ全て
配偶者と子(子・養子第一順位) 配偶者1/2 子1/2(人数で割)
配偶者と父母(父母・祖父母・第二順位) 配偶者2/3 父母1/3(人数で割)
配偶者と兄弟姉妹(兄弟姉妹・第三順位) 配偶者3/4 兄弟姉妹 1/4(人数で割)

・配偶者は常に相続人となり他の順位の血族相続人と同順位で相続をします。
・実子と養子の法定相続分に差はありません。
・平成25年9月5日以降に発生した相続から嫡出子と非嫡出子の相続分の差はありません。
 ※非嫡出子は認知されている事が条件になります。

遺言の効力

遺言は、非相続人の最後の意思を尊重しようといった制度になりますから、この意思は法定相続汾に優先する事になります。原則的には遺言書(ゆいごん・いごん)に従って遺産(財産)を指定された様に分ける必要が有ります。

遺言ができる方

遺言は、作成するかどうかは別にして民法では15歳以上で適正な判断能力(意思)がある方であれば誰でも作成する事ができます。未成年者でも法定代理人(通常は父・母)の同意を必要としません。また、被保佐人や保佐人の同意が無くても遺言を作成する事ができます。15歳で法的に効力のある遺言を作成しようと考える方はさすがに少ないと思いますが、遺言は、遺言者の最終意思をできるだけ尊重(実現)しようとする制度になりますから、遺言とゆう行為の性質を理解できる意思能力があれば遺言作成ができる。15歳になれば、この能力を有するであろうと考えられたためです。

遺言の方式(方法)

民法の定めでは大きく分類して普通方式と特別方式の2つに分類されます。
普通方式に分類されるのは、「自筆証書遺言」、「秘密証書遺言」、「公正証書遺言」の3種類に分けられ、特別方式は、「臨終遺言」と「隔絶地遺言」とに分けられます。普段よく作成されるのは、普通方式の遺言になります。

普通方式遺言の種類・説明
自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)

自筆証書遺言とは、その名が示すように自筆(自分で筆)遺言書の事を言います。遺言書は全文が自筆である事、作成の日付、氏名を自書して押印する事によって成立する遺言書です。

自筆証書遺言の特徴とメリット

誰にも知られずに自分で密かに作成保管ができます。ワープロやパソコン、テープに夜録音等の機器や代筆によって作成された場合は遺言書としての効力はありません。作成時の様式(フォーマット)は自由に選択できますが、日付、日にち、自書署名、押印がないものは無効になります。押印に関しては、認印、拇印でも大丈夫です。また、自分で全て作成され完結しますから、秘匿性(秘密保持)に適しています。

自筆証書遺言のデメリット

遺言その物の存在も秘密にできるため、相続が発生したにも関わらず発見されないといった問題も起こる可能性があります。また、偽造や改ざんの恐れもありますし、遺言書はその作成に関して一定のルールがあるため、方式違反や文意が不明であったりするとせっかく作成した遺言書が無効になる事もありますから作成に当たっては十分注意が必要です。
※自筆証書遺言には家庭裁判所での「検認」手続きが必要になります。

公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)

公正証書遺言は、遺言者が口頭でその遺言の内容を口授(くじゅ)し、遺言の内容を公証人と呼ばれる方たちが筆記をする方式の遺言書になります。公証人の前で遺言の内容を述べるわけですから秘匿性が無く、遺言内容の秘密保持が難しいですがその反面、遺言書の原本が公証役場で保管されるため紛失や改ざんの危険性はほば皆無と言って良いでしょう。また、公証人は以前検察官や弁護士を含め法務に関わってきた方々が引退後公証人になっている事が殆どな為、遺言書の作成時に方式違反や文章が不明な遺言書が出来上がる事はありませんから、遺言書に書いた内容にそった実行が可能となります。

公正証書遺言の特徴とメリット

公正証書遺言の作成時には2人以上の承認を伴って公証役場へ赴くか、外出が困難な場合は公証人の出張を求める事も可能です。依頼者は公証人の前で遺言の内容を口授(くじゅ)しこれを筆記してから遺言書作成依頼者、証人の前でこれを読み上げるか、閲覧させる事になります。遺言の内容に間違いがないか確認が済んだら遺言者及び証人が署名、押印をする事によって遺言が成立する事になります。もし遺言者に何らかの理由があり署名する事ができない時は、公証人はその理由を付記して署名の代わりとする事ができます。
※公正証書遺言には家庭裁判所での「検認」手続きは必要ありません。

公正証書遺言のデメリット

公正証書遺言は、遺言書として相続発生時に確実に効力を発揮する遺言書と言えるのですが、2名以上の証人が必要である事と公証人及び証人に遺言の内容を聞かれてしまいますから、秘匿性がないと言えます。また、証人や公証人、遺言書の保管等に費用が発生してしまいます。金額に関しては、遺言書作成の依頼者の財産状況により変動します。

秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)

秘密証書遺言は、自筆証書遺言の要素と、公正証書遺言の要素を併せ持ったような遺言書です。遺言書の内容は自筆証書遺言と同様に自書する事ができますし、更に自筆証書遺言では認められていなかったワープロやパソコン、代筆等に作成も可能です。(テープ録音によるものは認められない)署名、押印をし作成後は市販の封筒等に入れ封をした後遺言者は2人以上の証人及び公証人の面前に提出をし、自己の遺言である事を申述します。公証人が日付及び遺言者の申述を封書に記載した後、遺言者、公証人及び証人の全員が署名、押印する事で完結します。

秘密証書遺言の特徴とメリット

テープにより録音したものは認められませんがワープロ、パソコン、代筆等の遺言書でも作成が可能になっていますし自書、または代筆により遺言書を作成し封筒に入れてから証人及び公証人の面前に提出しますから、秘匿性が高くなります。

秘密証書遺言のデメリット

遺言書の内容は知られる事がありませんが、その存在自体を証人や公証人に知られてしまう事になります。
また、秘密証書遺言は自分で保管しなければなりません(自筆証書遺言も同様)その為遺言者側で相続開始まで保管場所を考える必要が生じます。更に紛失、隠匿、未発見等の恐れが有りますし遺言書の効力の問題が生じることも考えられます。
※家庭裁判所で「検認」の手続きが必要になります。

遺言書の検認

公正証書以外の遺言書には必ず管轄の家庭裁判所で「検認」が必要になります。遺言書の保管者若しくは遺言書を発見したものは、その遺言書が封印されている場合は未開封のまま、家庭裁判所に遺言書を提出して検認を請求しなければなりません。
検認とは一種の確認作業で、その遺言書の形状や形式を調査確認をします。これは万が一後日その遺言書が変造や偽造されるのを防止し、その保存を確実にするために行われる検査や検証、証拠保全の様なものです。
検認は遺言書の有効、無効等の内容を保証するものではありませんからご注意下さい。
※封印してある遺言書は家庭裁判所にて相続人立会のもとで開封しなければなりません。

遺言書に書ける内容

遺言書には何を書いても法的効力を発揮する事ができるのでしょうか?答えはNOです。故人(非相続人)が遺言書に書く内容に関しては何を書いても自由ではありますが、その内容で法的な効力を持つものは民法で厳格に定められています。

遺言でのみ指定できる主な事項

・相続分の指定
・遺贈
・遺産分割方法の指定
・財団法人設立の寄付行為
・遺産分割の禁止(死亡後最長5年間有効)
・遺言執行者の指定、指定の委託
・遺留分減殺方法の指定
・遺言執行者の指定
・後見人・後見監督人の指定
・子の認知
・相続人の廃除、排除の取消し
・特別受益者に対する持戻しの免除
・生命保険金受取人の指定、変更
・遺産分割における共同相続人間の担保責任の指定
・信託の設定
・祭祀承継者の指定

遺言の撤回と変更

遺言書っていつ書けば良いのですか?早期に書いて準備していても、財産の内容が変わってしまったり、相続させようと考えていたが気が変わる事だってあります。一度書いた遺言は撤回や書き足しや項目の削除は出来るのでしょうか?

こちら民法1022条によると、遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回する事ができる。

遺言を書き換えた場合は、一番新しい日付の内容の物が有効になります。

 

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